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長崎地方裁判所 昭和33年(わ)205号 判決 1958年7月03日

被告人 岡本好彦 外一名

主文

被告人等両名を各懲役六月に処する。

但し被告人松崎啓造に対し、未決勾留日数中三十日を右本刑に算入する。

被告人岡本好彦に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人岡本好彦同松崎啓造は共謀の上、昭和三十三年五月十日午前一時三十分頃西彼杵郡崎戸町日の出町路上に於て被告人岡本が氏名不詳の三人連れの男達から殴打足蹴等の暴行を受けたことに憤慨し、その仕返しせんことを企て同人等の行方を追求中、偶々同日午前二時三十分頃、同郡同町蠣の浦と福浦間の渡し場において渡し舟に乗り合はせた坂本章好外二名を前記三人連れと誤認し、同人等を沖合なる瀬標に監禁せんことを決意し、被告人岡本において櫓を操り右蠣の浦棧橋北西、西方約三百米(陸地最短距離約二十五米)の沖合海中に孤立せる上面積の直経約一五・米の瀬標に漕ぎ寄せた上、被告人両名は右三名に対し交々「これに上れ上らねば叩くぞ」等怒号し、更に前記坂本の顔面を殴打する等の暴行を加えて右三名を無理に瀬標に上らせた後被告人等は右船にて帰りたるため右三名をして前記時刻頃より午前四時頃までの間前記瀬標から立去ることを不能ならしめ以て不法に監禁したものである。

(証拠の標目)(略)

(累犯にあたる前科)

被告人松崎啓造は昭和二十九年十一月二十五日広島地方裁判所呉支部において窃盗、傷害罪により懲役一年六月に処せられ、当時右刑の執行を終つていたものであつて、該事実は検察事務官作成の前科調書によつて明らかである。

(法令の適用)

刑法第六十条、第二百二十条第一項(被告人等の判示所為)

刑法第五十六条、第五十七条(被告人松崎に対する累犯加重)

刑法第二十一条(同被告人に対する未決通算)

刑法第二十五条(被告人岡本に対する執行猶予)

刑事訴訟法第百八十一条第一項但書(訴訟費用)

(裁判官 細見友四郎)

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